研究内容

研究の全体像

色々なCO2還元反応の標準電極電位の測定


アセトニトリル-水混合溶媒中におけるCO2還元反応の標準電極電位の溶媒組成依存性

近年、世界中で研究対象となっているCO2の還元反応の一つに、水もしくは有機溶媒中で炭酸水素イオンもしくは水の生成を伴う様なCO生成反応(3CO2 + H2O + 2e- → CO + 2HCO3-)があります。 この反応は、CO2をC1化合物に変換する資源化反応として特に有望視されています。これは、生成物が工業化学における基幹反応であるFischer-Tropsch反応の原材料になるからです。 そのため、低過電圧駆動の触媒の開発が国内外で精力的に行われていますが、肝心の「低過電圧」の具合を決める基準となる「標準電極電位」の測定は、水中以外では、未踏領域です。 本テーマでは、有機溶媒やイオン液体中での様々なCO2還元反応の標準電極電位を高確度で決定することを目指しています。

関連論文: ACS Energy Lett., 2017; ACS Energy Lett., 2019

CO2還元反応の触媒を超低過電圧で駆動させるためのアゾリウム助触媒の開発


イミダゾリウムを反応溶液中に共存させることにより、触媒の駆動開始電圧が低下します

COを生成するCO2還元触媒の研究では種々の方法が検討されていて、その内の1つがイオン液体、水もしくは有機溶媒中のイミダゾリウム塩とCO2との特異な相互作用を利用する研究です。 イオン液体は、水・有機溶媒に次ぐ第3の液体として注目を集めており、種々の触媒の反応場としても有用であることが明らかにされてきてます。 本テーマでは、イオン液体を用いて超低過電圧駆動のCO2還元触媒開発につながる様な研究結果を得ることができており、現在、更なる効率の向上を目指して、新規イミダゾリウム助触媒の研究を行っています。

関連論文: J. Phys. Chem. Lett., 2014; ACS Catalysis, 2015.

イオン液体-基礎化学的性質の探求から触媒作用への応用まで


関連論文: J. Phys. Chem. Lett., 2014; ACS Omega, 2016; Chem. Lett., 2019.

ヒドリド移動反応


関連論文: Inorg. Chem., 2009; J. Am. Chem. Soc., 2012; Organometallics, 2015.